子どもだけで魚釣りに行くようになって

私は都市部で育ちましたので、自宅近くに魚釣りのできる場所はあまりありませんでした。小さな川はありましたが当時はヘドロだらけで汚く、子どもながらに魚釣りをする気にはなりませんでした。一方、池は自転車で行ける範囲にいくつかありましたので私の行く場所は自然に池になりました。しかし、池によっては柵が張り巡らせてあって入ることが出来なかったり、釣りの対象となる魚がまったくいないこともあって、かなり限られた場所での釣りでした。
 そうしたことを今考えると、当時私が自然のなかでの遊びと考えていた魚釣りもしょせんは人為的に放流された魚を、人為的に作られた釣り場で釣っていたにすぎないということになるのかもしれません。また、当時の社会では、学校などでも魚釣り(池で遊ぶこと)は危険なこととして禁止されるという風潮がありましたので、余計にそういう状況になっていたのかもしれません。
 話を戻しますと、池での魚釣りの対象は、フナや鯉のほか、ブラックバスやブルーギル、そしてモロコなどの小魚やザリガニなどでしたが、対象魚によって子どもながらに釣り方をいろいろと工夫していました。鯉を狙うときはリール竿に吸い込み仕掛けをつけたり、フナを釣るときは述べ竿、モロコなどの小魚を釣るときは延べ竿の穂先部分を使うなどです。エサは市販の練りエサが中心でしたが、ときにはサシムシ(ハエの幼虫)なども使っていました。ミミズは魚が良く釣れるのですが、自宅近所ではあまり捕まえることができなかったのでほとんど使いませんでした。
 魚釣りの魅力は対象魚の大小ではないということはよく言わることです。五センチに満たないような小魚でも、細い竿先で釣ればぴくぴくとした当たりや引きを楽しむことができます。また、小さいからと言っていつでも簡単に釣れるという訳ではなく、エサや釣り場所によって釣果に違いが出てきます。子どもの頃の私はそうした“通”な魚釣りの楽しみ方をしていたのでした。